東大卒無職が働かずに生きるブログ

東大卒が感じた社会の厳しさを綴るブログです。株式投資の記事もちょくちょく

デキる営業の仕事はこういうもんだよっていう話

よく「文系職は誰がやっても同じ」と言われることがある。

 

私も会社員だったときは、

こんなもんその辺のサルにでもやらせておけ(怒)

としか思えない作業が山のようにあった。

 

しかし、少なくとも営業に関してはそんなことはない。
実力によってはっきり差が出るものだ。

今日はそれを実感したときのことを書きたい。

 

 

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平成最後の三か月。
私はダウンロード販売専門のメ〇カリのようなサイトを構築すべくプログラミングに励んでいた。
全ては金のため、働かずして生きてゆくためである。


この手のプラットフォームビジネスは一定規模に成長すると、サービス自体が勝手に育っていくので、大学院生になることが決まっていた私が運営するサービスとしてはぴったりだった。

(現在はフリマルという名前で(一応)公開されているこのサービスの作成経緯については、

DLフリマサイトを作ってみた話 - 東大卒無職が働かずに生きるブログ

を参照してほしいが、めんどくさかったら別に読まなくても問題ない。)

 

 

運よくフリーターとしてプログラミングのバイトをやっていた私は一か月程度でサーバーサイドの処理をだいたい書き終えることができた。

 

しかし、当初から想定されていたことだが、一つ大きな問題が残っていた。

 

……決済である。

 

古今東西あらゆる商売というものは、顧客から金を受け取ることによって成り立っている。
どれだけ良いサービスを提供しようが、最終的に金に繋がらないものはビジネスとは言えない(その手のサービスは主に慈善事業と呼ばれる)。


しかし、考えてみるとインターネットを介して行う商売の場合、支払いを完了させるのは結構難しい。

現実の店の場合は、直接現金を受け取ることができるが、ネット上のビジネスの場合は決済手段がクレカやpaypalをはじめとした電子決済に限られてしまう。
特に利用者数の関係から、クレジットカード決済は基本的にマストだと思って差し支えない。


自分のサイトでクレカを使えるようにするのって実はすごく大変だ。


まず普通にやろうとするとVISAやらMaster Cardやらの審査に通らなければならない。
しかし、まずクレカが使えないと、決済方法自体が存在しないので、審査の為に提示するサイトがまず作れない。

 

作れたとして審査に受かるのか?
しかもVISA,Master Card,JCBなどのカード会社それぞれの審査を受けるのはめんどくさいし審査が終わるまでの期間も読めない。

何よりも、顧客のクレカ情報を自分たちで保存するのはかなりの恐怖感がある。

万一情報流出が起これば、「webサービス作ったけど儲かりませんでした泣」というレベルではない壊滅的被害を被ることとなってしまう。

カードの番号を暗号化して保存することもできるが、暗号化の為のプログラムを書くのがめんどい上、暗号化の方法自体を盗まれたら結局突破されてしまう。

 

 

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現実的なのは決済代行業者を使うことだった。
世の中には我々のような悩みを持つ個人・法人のために、顧客クレカ情報の管理や、
クレカ決済会社の審査を代行してくれる業者が存在する。

 

決済代行業者を利用すれば、顧客が入力したカード情報を高度なセキュリティを伴った方法で直接代行業者に送ることができる。
つまり、新規サービスを開発する我々は一切顧客のカード情報を見たり保存したりしなくて済む。
どんなにすごいハッカー(というかクラッカー)でも、サーバーに存在していない個人情報を盗むことはできないというわけだ。

 

長くなったが要するに、代行業者を使えば、我々のサーバーから顧客情報流出、という事態だけは防ぐことができるのだ。

 

 


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そこで、私はとりあえず色々な決済代行業者にメールを送ってみた。

ちなみに私はこのサイトを

「細けえことは作りながら考えっぞ!」

くらいのノリで作り始めていた。

 

この時点で、サーバーサイドの実装は7割がた完成していたのにも関わらず、
どの決済代行業者を使うかとか割と大事なことが全くの白紙だった(チーム開発の場合はこういう事態は論外なのだろうが、サーバーサイドは一人で書いていたので問題なかった)。

 

前振りがクソ長くなったが、ここからが今回の記事の本題である。


要するに、代行業者によって、メールの対応が全然違っていて面白かったので紹介したいのである

 

私が各決済代行業者に送ったメールはほぼそのまま下にコピペしておいた。
読むのがめんどくさい人の為に要約すると、

 

・現在作成中のwebサイトにクレカ決済を導入したい
・サイトはフリーマーケット型のC2Cビジネスである
・ユーザーにポイントを買ってもらい、ユーザー間の売買はポイントで行う
・そのポイントは換金可能
・決済代行業者のできるだけ安いプランを利用したい

 


といったところだ。

 


 

(決済代行業者様)

いきなりの連絡失礼いたします。

フリーで新規ウェブサービスを開発しているせり沢ゆうきと申します。

私は現在、開発中のサイトに決済システムを導入する方法を検討しています。


まず、開発中のサイトのシステムを説明させていただきます。
概要としては、メ〇カリのようなフリーマーケットサイトです。

ユーザーは商品の売買をポイントで行います。
初めに各ユーザーにポイントを1ポイント=1円で購入していただきます。
ユーザー間での売買が発生すると、商品の値段の9割に相当するポイントが
買い手から売り手へ支払われ、残りの1割が手数料として私どもの収入になるという仕組みです。

なお、ユーザーが所持するポイントは1ポイント1円で換金することもできる仕様にしようと考えております。この事情により、ユーザーが単にポイントを購入しただけでは実質的に私共に収益は生じません。あくまでも私たちに収益が発生するのはユーザー間で売買が成立したタイミングです。
一方、決済業者様に仲介していただくのはユーザーがポイントを購入していただいたその処理時ということになります。

以上のことから、単純に決済業者様が処理した金額の数パーセントを決済手数料として私どもが決済業者様に支払う、というモデルですと実質的に売り上げの数十パーセントから百パーセント超の額を私共が支払うという状況が生まれます。


ですので、ポイント換金額でなく、私共のデータベースに記録される、商品の売買額の内数パーセントという手数料体系をとっていただける決済事業者様を探している状況です。


ちなみに、開発はEC-CUBEなどのパッケージを使うことはなく、独自実装を行っています。その為、カスタマイズは比較的容易で、ある程度特殊な処理にも対応できるようにサイト自体を作り替えることも可能です。

以上が私共のサイトの概要です。

私たちのサイトにマッチするようなクレジットカード決済またはそれに準ずる決済手段を導入することは可能でしょうか?
お忙しいとは思いますが回答いただけると幸いです。


せり沢ゆうき





これに対し、多かったのが下のメールのような内容だ。

 

 


 

せり沢 様

お世話になっております。〇〇株式会社の××です。

ご返信頂き、ありがとうございます。

お問い合わせ頂いた内容ですが、
大変恐縮ながら貴社が扱われている業態・商材(C2C)では現状審査にお出し出来ず、
決済サービスの導入を行えない状況にあります。

ご期待に沿えず申し訳ありませんが、
他業態・商材での決済導入ご検討の際は再度ご相談頂ければと存じます。

宜しくお願いいたします。

 


 


この手の返答はごく簡潔に要約することができる。

要するに

「無理だから諦めろ^^」

といっているわけである。
この手のメールが返ってくるとなんか凹むというか、
最終的に決済代行業者を導入できないかも、という不安から冷や汗が出た。

 

 

一方、私がある種の感動さえ覚えたメールが次である。

 

 

 



せり沢さま

お世話になっております。(サービス名)の(担当者名)と申します。
ビジネスモデルの詳細をご教示いただきましてありがとうございます。

弊社のXXXXXXXXXXというプロダクトを利用しますと、メ〇カリさんのようなC to Cのマーケットプレイス型のビジネスを実現することは可能です。しかし、伺った範囲ですと、弊社でのサポートは難しいのではないかと考えております。

XXXXXXXXXXでは、買い手の決済から御社の手数料徴収、売りてへのお支払いを自動化することが可能となります。しかし、〇〇では買い手からのお支払いが発生した時点で、決済額のXX%をいただいているため、「データベースに記録した商品の売買額の内数パーセントという手数料体系」をご提供することは難しいかと存じます。

また弊社では、決済が発生してからXX日以内に入金を行なって頂く必要がありますが、御社の場合、「収益が発生するのはユーザー間売買が成立したとき」とのことですので、ユーザー間の売買が成立しない場合にも入金を行わざるを得なくなる、ということになります(また、御社での管理も煩雑なものとなります)。

また現金化ができるポイントシステムは、資金調達のために悪用される可能性がございます。こちらのビジネスモデルについては御社の方でリーガルチェックは完了されていらっしゃいますでしょうか?

弊社から法律的なアドバイスをするものではありませんが、資金決済法については弁護士と話をするなどして法的に問題ないことをご確認いただいたほうがいいように考えております。

お手数ですが、ご確認いただきまたご連絡いただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

(担当者名)

 



おわかりいただけるだろうか。
要はこちらのサイトの仕様自体を、この会社のサービスに合うように作り替えるんならいけるかも、とやんわり言っているわけである。

そしてその背景として


・現行のシステムのままだと管理がだるそうであること
・ポイント制サイトは法律的な問題が生じやすいこと

が述べられている。

これらの文句は私の胸に突き刺さった。

あとは決済代行サービス導入にあたって色々サポートしてくれそうな空気感をそこはかとなく感じた。

 

私はこの業者のサービスを導入することを即断したのだった。

 

 


 

(担当者名) さま

 

ご連絡ありがとうございます。
せり沢です。

非常に貴重なアドバイスをいただき、本当に感謝いたします。
現在、(サービス名)様のほかにも私どものポイント制システムが適用できる決済システムを色々と探しているのですが、
どこでもだいたい同じような回答をいただいているのが実情です。

さらに、(担当者名)様のご指摘通り、内部からもポイントシステムの法律的な問題点を指摘する声が出ており、
現在ポイントシステムを見直すことも検討している段階です。

幸い、これまでのサイト構築は全て我々の手で行っているため、
決済部分をドラスティックに作り替えることはそれほど難しくはありません。

(サービス名)について熟知しているわけではありませんが、
貴システムに適応するようにサイトの決済部分自体を作り直すこともおそらく可能ですので、ぜひ(サービス名)に関する資料をいただけないでしょうか。
また、他の決済システムに関する資料もいただくことができると幸いです。

ご検討よろしくお願いいたします。

 

せり沢

 


 

ちなみに内部からもポイントシステムの法律的な問題点を指摘する声が出ており」というのは完全にウソだが、無知がばれるのが恥ずかしかったので入れておいた。

 

まあなんにせよ、現在のフリマル(作ったサイト)の決済部分にはこの業者のサービスが組み込まれている。もちろん、決済仕様の変更に合わせてフリマルからポイント制度は廃止された。


しかし、この業者の営業担当者の腕前には恐れ入る。
なにせ無理難題をいってくる潜在的な顧客(つまり私)に対して、そのサービス自体を作り替えさせてしまったのだから。

私が初めに送ったメールから、私が抱えているorこれから抱えるであろう問題を即座に察知し、それを交渉のカードとして使う。
中々できることではない。

いい仕事してるな、という感じである。

 

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ちなみにこの会社は外資系であったが、やはりこのグローバル時代には、本当に実力のある企業が勝ち抜いていくなあ、という感がある。

日本語のドキュメントがあまり無かったせいで、プログラムを書くという面では結構苦労したが、技術的な質問にも担当者がかなり詳しく答えてくれたのでなんとかなった。

 

 

こういう「いい仕事」ができるような風土がある企業が果たして日本にどれくらい存在するのだろうか(少なくとも私がいた会社は違った)。

日本企業には社内のおっさんのご機嫌取りに注力している場合ではないぞ、と声を大にして言いたい。

 

そしていつか自分もこういう良い仕事ができるような場所を早く見つけたいぜ!!!!!!!!!という思いである。

 

 

 

 

 

 (終わり)