東大卒無職が働かずに生きるブログ

サラリーマンに向いてなさすぎる東大卒の考えたことなど

株分析その1・ライフネット生命

記念すべき第一回の銘柄分析は、ライフネット生命である。

 

ボストンコンサルティング出身の岩瀬大輔氏と、日本生命出身で現在大学の学長なんかもしている出口治明氏が立ち上げた、ネットで申し込むタイプの生命保険を扱う会社である。

 

日本の生命保険市場は40兆円規模と、非常に大きく、また申し込みなどに際してインターネットなどのテクノロジーの利用が進んでいない点に変革の余地を感じた、と岩瀬氏がどこかで語ってたように記憶している。

保険料というのはそんなに会社が自由に設定できるものではない。「どれくらい保険金の支払いが発生するか?」という点と、「保険料を運用して、どれくらい増やせるか?(あるいは保険料徴収時点の金が、将来時点の同額の金に対してどれくらい価値があるといえるか)」と、「営業活動にどれくらい金がかかるか?」という要素を考えて、高すぎもぜず安すぎもしないように設定しなければならない。

その点、ネット経由で契約する生命保険は、営業にかかる費用を抑えられる分、保険料の安い保険商品を設計できるはずだ。

 また、保険という商品には規制その他の参入障壁が多く、先駆者が得るリターンは大きいはずだ。

 

と、このような夢あふれるライフネット生命だが、あべっちんぐはこれを買わない、と判断した。確かに、当たればはてしなくでかいリターンが得られそうだが、以下のような理由によってこの結論に至った。

 

・競合他社が表れ始めた

→実際にネットで申し込める生命保険を探してみたところ、SBI生命やオリックス生命といったライバルがすでに表れていることがわかる。ライフネットはかなり安い保険料を提示しているが、必ずしも最安値ではない。

 

・ネットならではの問題点

→調べたところ、ネット申し込み特有の不便さもあった。

 

①契約に関する入力が面倒

……対面なら営業員がサポートしてくれる事務処理を加入者が自分でやる必要がある。特に病歴とかに関するデータの入力が面倒だったという声を耳にした。

 

②喫煙の有無が判定できない

……対面ではできる喫煙者かどうかのチェックができない。よって、非喫煙者は喫煙者と同じコースに加入せざるを得ず、その分割高なのでは?と考えられる。(しかも、人間が経済的に合理的であれば、こういったコースには相対的に割高な非喫煙者は入りたがらず、喫煙者には加入するインセンティブがはたらくのではないか?)

 

・競合他社の影響か、新規加入が伸び悩んでいる

2018年3月期の有価証券報告書を見ると、事業費が22%以上増加しているにも関わらず、保険料等収入が8%ほどしか伸びていない。やはり、競合の影響が出ているのだろう。

 

・長期的な成長に疑問の余地が残る

ライフネットの契約者は8割超が20~40代ということらしい。気になるのが少子化の影響である。ネット生保のメイン顧客層自体がシュリンクするのであれば、必然的に今後の成長には疑問が残る

 

KDDIとの提携

ライフネットは最近KDDIとの業務提携を行った。そして、従来式の生保のような対面販売も行い始めたのである。これはまだ何とも言えないが、「ネットで生保を売る」という根幹のビジネスモデルに対して、経営陣の自信が揺らいでいるようにもとれる。

 

以上の理由から、私はライフネットの株購入を見送った。ただし、これはこの銘柄が上がる見込みがないといっているのではない。事実、ライフネットは着々と黒字化を達成しようとしている。次回の決算では経常収支をプラスにもっていく可能性も高い。しかし、上記の懸念事項が、長期的に解決が難しい性質を有すると判断したのである。長期投資の対象銘柄として選別するのだから、高い確率で長期的に日経平均を上回るといえるような銘柄を買いたい。

誤解のないように言っておくと、経営陣は日本トップクラスに優秀な人たちで、かつ有名である。日本企業の中には岩瀬氏の本『入社一年目の教科書』(だったと思う)を新入社員に強制的に読ませるところも多い(私が昔いたところもそうだった)。この本にはちょいちょいライフネットの宣伝も入っていて、私もこれを通じて同社のことを知ったのだ。

実際保険料も安いし、優秀で誠実な人によって作られた保険であるのは間違いない。私自身も生保に加入するなら、ライフネットは考慮に入れる。また、ライフネットが主張するように、「ネット生保の競合激化は、長期的にはネット生保の市場規模自体を押し広げるので、ライフネットにも恩恵をもたらす」という命題が事実であれば、リターンはでかい。

 

しかし、私は株を買わない。それだけのことである。